知ったかニーチェ

青年期の三つの著作

このページでは、『人間的、あまりに人間的』『曙光』『悦ばしき知識』の三つの著作に焦点を当てます。この三つは、ニーチェが34歳から38歳の頃書かれたもので、真理批判の姿勢をとっています。この三つが書かれたのはニーチェの青年期の中期に当たりますが、初期には真理批判とは違った思想を持っていました。初期にはショーペンハウアーのペシミニズム※1とワーグナーの音楽を崇拝していて、『悲劇の誕生』『反時代的考察』を執筆しました。ここでは詳しく述べませんが、自己超越の姿勢で、人生は苦しいと認めた上で積極的に生きる、新しい文化の国を作る、などの思想が見受けられます。ところが一転、病気やワーグナーとの決別によりニーチェは真理批判に目覚めるのです。

※1ペシミニズム…悲観的な考え方。ここではショーペンハウアーの「世界は苦悩に満ちている」という思想。

『人間的、あまりに人間的な』では、あらゆるものを疑い、あざ笑うようなシニカル(皮肉的)な態度をとっています。世界は生成変化するものであり、その背後に本質や原因などの心理をおくことはできないし、道徳にも善悪の絶対的基準はないと行っています。世の人々が心理の存在を疑わないのは、この矛盾に満ちた世界を直視できないからであり、「本当のことなどない」としているのは、自分(ニーチェ)のような賢い人間だけだ、と述べています。少し、平家物語に出てくる仏教の思想「諸行無常」と似てる気がします。

しかし、次の著作『曙光』匂いては、こうした自分の内面にある世界への否定感情を自覚し、その意味を問い直していて、自分の感情の根底にあるのはニヒリズムであり、自分の妬みや恨み(ルサンチマン)にすぎないと結論づけています。また、ただ苦を避けようとする利己心を批判し、積極的に生きようとする「力への感情」を重視していますが、これはのちの「力への意志」につながる主張です。『悦ばしき知識』になると、「力への感情」から道徳批判をすることが中心テーマとなり、さらには「神は死んだ」という言葉が登場します。

三つの著作に共通する思想